研究概要 |
新たに製作したスリットノズル、及び、従来から用いている3ステージコニカルノズルを用いて様々なクラスター媒質中(Ar、N_2O、CO_2、CO_2+He)でのレーザー光の自己収束に関する実験を行った。実験は、原子力機構所有の高強度フェムト秒レーザー装置を用い、レーザーとクラスターとの相互作用により発生するX線を、湾曲結晶を備えた分光器を用いてレーザービーム軸方向に空間分解して計測した。また、これと同時にプローブ光を用いたシャドウグラフにより、レーザー-クラスター相互作用領域の電子密度分布を計測した。 その結果、X線スペクトルとシャドウグラフ像とにレーザー光の自己収束に起因するチャネリング生成(5-10mm)を確認できた。チャネル長は、クラスター媒質の種類やレーザー集光点に対するノズル位置に強く依存することが分かった。Heガス(クラスターは生成しない)を用いた実験との比較から、クラスター媒質中では、チャネリングが起こりやすいことが分かった。特に、クラスター媒質として、N_2OやCO_2のような"分子クラスター"を用いた場合に、容易に長いチャネルが生成した。これには、クラスター媒質中における"クラスター密度"が深く関係していると考えられる。今後、シミュレーション研究と共同でクラスター媒質中におけるチャネリング生成機構について詳細を明らかにしてゆく。 さらに、今回の研究で発生する高輝度の軟X線(0.7keV,>10_10 photon/shot)が、ナノ構造体や生体物質の高分解能かつ高ダイナミックレンジの"吸収差像"や"位相差象"の計測に応用可能であることを示した。
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