1.太陽系外惑星および原始惑星・原始惑星系円盤の探査観測 (1)太陽近傍の若い恒星に不随する太陽系外惑星の直接撮像探査 太陽近傍の若い恒星eps EriとVegaの周りに惑星や褐色矮星が存在するかどうかを調べるため、すばる望遠鏡とコロナグラフ装置による直接検出法による世界で最も高感度の探査観測を実施した。結果、これらの恒星から数天文単位から数十天文単位には、木星質量の5倍以上の惑星は存在しないことが明らかになった。 (2)連星系に付随する原始惑星系円盤の発見 恒星の半分は連星であるにもかかわらず、連星に付随する原始惑星系円盤の検出は数例しかない。我々はすばる望遠鏡のコロナグラフを用いて、若い連星であるUY Aurを観測した。そして、明るさが非常に不均一な原始惑星系円盤を発見した。特に最も明るい部分は塊状の形状をしており、この塊が収縮することで、将来惑星が誕生する可能性があることがわかった。 2.単独惑星質量天体の物理的性質解明 惑星質量を持つが、恒星の伴星でなく単独で存在する単独惑星質量天体は光度が非常に小さいために、S/N、波長分解能ともに低い観測例が数例しかない。そこで、申請者が発見した天体から10-80木星質量程度の天体を選び、十分な分解能が達成される近赤外分光観測及び解析を行い、より軽い原始惑星の質量と年齢を決定するための分光観測を行った。 3.過去、及び現在の地球の大気組成と放射スペクトルモデル計算 将来の地球型惑星探査計画のためには、生命有無による惑星大気スペクトルの変化の様子を予測する必要がある。地球大気の化学平衡及び放射対流計算を行い、酸素量及び太陽光度に応じた進化段階の異なる地球型惑星の大気モデルを作成し、全球赤外放射スペクトルや自転に伴う光度変化を求めた。
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