1. 太陽系外惑星及び原始惑星の直接法・間接法探査観測 すばる望遠鏡とコロナグラフ装置を用いた若い星の周囲に存在する原始惑星/惑星系円盤、および岡山天体物理観測所望遠鏡と高分散光装置を用いた連星系に付随する惑星の探査観測を行った。 (1)若い星に付随する原始惑星の直接撮像探査 ごく最近の観測から3つの惑星候補天体を伴うと報告されている若い星HR8799についてコロナグラフ撮像観測を行い、非常に暗い伴星候補を検出し、少なくとも一つの惑星候補天体について固有運動型研究の報告と矛盾しないことを示した。この結果はHR8799が惑星を持つ可能性を支持する重要なものである。 (2)連星系周囲に存在する惑星の発見 視線速度測定法により、太陽近傍の連星系の周りに存在する惑星候補天体を発見した。連星系周囲に存在する惑星の発見例はまだ数が少ないため、その形成過程を解明するために大きな意義がある。 2. 惑星質量天体、褐色矮星の物理的性質解明 恒星の伴星でなく単独で存在する惑星質量天体や褐色矮星などの超低質量天体を対象に、大型望遠鏡による多波長測光・分光観測を行った。 (1)中質量星形成領域 ハワイ島にあるUH2.2m望遠鏡を用いて、星形成領域NGC1333における超低質量天体近赤外探査観測を行った。結果、近赤外超過を示す若い天体を多数同定した。光度から質量を求めると、その約半数以上が若い超低質量天体であった。これらの一部について、分光観測を行った結果、低温度を示す水の吸収が複数の天体に見られた。その温度は、約2000-3000Kの温度で、進化モデルと合わせると質量が木星の十一数十倍である。また、幾つかの天体には、Hα輝線や水素分子輝線などが検出された。これらは、星周円盤質などからの量降着現象を起こす、非常に進化段階の若い天体であると考えられる。 (2)大質量星形成領域 ハワイ島にある英国赤外線天文台望遠鏡を用いて星形成領域S106の若い褐色矮星、および惑星質量天体の3μm測光観測を行った。我々の過去の観測と合わせた多波長データから新しく若い天体を複数同定し、それら天体の年齢分布などを調べた結果、未知の非常に若い天体の集団が発見された。つまり、大質量星周囲に若い超低質量天体が集団的に形成されることが明らかになった。
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