研究概要 |
地球型惑星は, 原始惑星が衝突して最終的な大きさの惑星へと進化する. この過程においては, 系に存在する木星型惑星の重力が重要な影響を及ぼす. 太陽系外では, 太陽系であれば地球型惑星が存在しているような中心星の近傍の領域に木星型惑星が発見されている.これらの木星型惑星は, 質量や離心率がともに大きく, 太陽系外での地球型惑星形成は, これらの木星型惑星の配置の起源と合わせて議論しなければならない。また, 観測技術の向上によって, 中心星の近傍であれば, 地球サイズの惑星の検出が可能となってきている.これらのことから, 中心星近傍への惑星の軌道進化を, 惑星散乱過程と潮汐かに着目して調べた. 潮汐力を入れた直接軌道計算の結果, 複数の木星型惑星が形成されて軌道が不安定になった場合の3割程度で, 1つの惑星が地球型惑星領域を侵犯しながら短周期惑星となった. この確率はあまり潮汐力の強さに依存していない. これは進化パスが潮汐力の強さには寄らず, 散乱によって決まる軌道要素によって決まっているためと判明した. 潮汐相互作用が働くためには, 近日点が中心星のごく近くに入る必要がある.直接の軌道散乱で最終的に潮汐力の働く領域に入る確率はわずか2%ほどであった.しかし, 散乱によって軌道傾斜角が大きくなると, 残りの惑星との長期摂動が働いて, 軌道傾斜が離心率へと変換されるため, 長時間の間に短周期化が起こる.このような惑星は1割程度あった. また, 軌道が不安定な時代に, 一時的に離心率が大きくなって短周期化される惑星は全体の2割あった. 残りの7割の系では, 木星型惑星は火星軌道以遠に存在する. つまりこのような系であれば, 太陽系類似の方法で地球型惑星形成の行われる可能性がある.
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