研究課題
東アジアの縁辺海であるオホーツク海、日本海、及び東シナ海の大陸棚斜面を沈降する密度流とそれに伴う物質輸送の実態、すなわち、これらの海域における海水と溶存物質の沈降経路や量、混合過程を、観測資料解析と数値実験の両面から明らかにする事を目的として、数値実験を行った。また、各種の観測データについても解析中である。具体的には下記の通りである。海水の沈降過程においては、地球自転が本質的な傾圧不安定が極めて重要な役割を果たしている。一方、上記の海域は緯度にして約20度から60度とかなり広範囲に渡って分布しており、地球自転に起因するコリオリ力も海域毎に大きく異なる。そこで、先ず、沈降流の力学過程についての検討を、三次元モデルを用いて行った。その結果、海水の沈降過程に対して、緯度の違いは極めて大きな影響を及ぼすことが明らかになった。特に重要な点は、緯度が低下するに伴って海水の沈降量が増加することである。また、現在は、日本水路協会編集の日本周辺域における品質管理済み海洋内部データ(MIRC OCEAN DATASET 2005)や気象庁編集の日本周辺域における高分解能大気観測客観解析データ(MANAL)、オホーツク海における海氷観測データ(海氷観測資料)、全球長期再解析データ(JRA-25)等の多種多量のデータを入手し、詳細な解析を行っている。さらに、観測資料解析で得られた結果を補完し、力学解析で得られた結果も統合して総合的な知見を得るための数値モデルについても開発中である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
第56回理論応用力学講演会講演論文集
ページ: 2C08
Journal of Geophysical Research 111,C11018
ページ: doi:10.1029/2006JC003677