地球温暖化が進むことで、極端な気象現象(以下極端現象)が大きく変化することが、大気海洋結合モデルを用いて予測されている。しかし、これまではモデルが現実の極端現象を精度良く再現しているかどうかは、十分に検証されてこなかった。本研究では、モデルの計算結果と観測データを比較することでモデルの検証を行う。また精度を検証されたモデルを用いて将来予測を行う。 H18年度は、モデルで計算された20世紀中の極端現象の頻度分布変化が、観測を再現できているかどうかを、最新の統計分析手法を用いて全球規模で検証し、さらに過去の変動の要因推定を行った。この際、英国ハドレーセンターの協力を得た。 これらの成果をふまえ、H19年度は、今後30年間の近未来予測を行った。まず極端な気温現象(夏期または冬期における極端に暑い昼・夜または寒い昼・夜)の発生頻度の変化について調べた。2011〜2030年平均の極端現象の発生頻度分布を1951〜1970年平均のそれと比較すると、陸上のほとんどの地域で、温暖化シグナルは内部変動を凌駕することがわかった。つまり数十年規模内部変動の位相にかかわらず、暑い昼・夜が増加し、寒い昼・夜が減少することが示された。 さらに「年平均降水量」と「年間で4番目に多い日降水量(極端な降水)」がどのように変化するかを調べた。高緯度と熱帯では、数十年規模の内部変動の位相によらず、降水量の増加が予測された。一方、亜熱帯では、内部変動の位相によって降水量変化の符号が変わり得ることが示された。温暖化シグナルと内部変動の大きさの比が地域によって異なる原因も調べた。
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