研究課題
本研究課題の目的は、極域電離圏及び磁気圏で観測される極風(ポーラーウィンド)の生成機構の解明である。極風が生じ始めると考えられる極冠域の上部電離圏(500-1, 500km)におけるイオン組成の高度分布と各イオン種の速度分布をEISCATスヴァールバルレーダー(ESR)を用いて詳細に調べた。昨年度は特に、IPY観測期間中に得られたESR観測データ(2007年6月24日から9月20日までの26イベント)を用いた詳細なデータ解析を実施した結果、(1)酸素イオンに対する水素イオンの比率は、高度400-600kmでは、電離圏モデル(IRI-2001)値に比べて観測値の方が大きいこと(約3倍)、(2)昼側カスプ領域より低緯度側の領域では、主イオンである酸素イオンの沿磁力線上向き速度が数10ms^<-1>と小さい場合でも、マイナーイオンである水素イオンの沿磁力線速度は数100ms^<-1>に達し、上昇イオンフラックスの保存が広い高度幅で成り立っていること、等を明らかにした。これらの成果を論文にまとめ国際雑誌に投稿している。さらに、1997年から2006年に得られたESR観測データを用いて、昼側カスプ及び極冠域におけるイオン上昇流/下降流の特徴を調べた研究成果を学術論文に発表した(Ogawa et.al., 2009)。
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J. Geophys. Res. 114
ページ: 2008JA013817
ページ: 2008JA013867
Annales Geophysicae 26
ページ: 1491-1505