本研究は、惑星間空間から地球へもたらさせる彗星・小惑星起源物質(流星)、これらの塵(ダスト)の超高層大気での発光過程や星間物質から現在の太陽系へ至るダストの進化に関する知見を広げることを大きな目的としている。 平成18年度は、自動観測をスタートさせるため、小型の汎用CCDビデオカメラとCマウントレンズを組み合わせたシステムを構築し、撮像と分光観測を7月末より開始した。11月からは、装置一式を京都大学生存圏研究所・MUレーダ観測所(滋賀県信楽)所内に移動させてリモート観測を開始した。同型のシステムを用いた観測成果として、Earth-grazing fireball(地球大気突入後、宇宙へ帰って行った隕石火球)の観測に成功し、遠日点が5AUの近地球型小惑星軌道であることなどを突き止めた(論文投稿中)。同様の近地球型小惑星である小惑星イトカワの探査からは、密度と空隙率の導出行い、申請者が筆頭になる論文はScience(2006年6月2日号)に掲載された。本観測システムの有用性が示されたので、今後は未解明である小惑星から放出され、地球に到来したダストの観測を継続し、小惑星起源のダストの進化を明らかにしていきたい。 また、汎用CCD観測と平行して、大口径イメージ・インテンシファイアーを購入し、大判レンズとハイビジョンカメラを組み合わせた超高感度TVカメラの設計を行った(平成19年4月下旬完成予定)。この超高感度カメラは、汎用CCDの100倍以上の感度があり、暗い(小さなサイズ)の流星ダストの定常観測を平成19年度に開始させる。平成19年度は、観測の完全自動化、データ処理ソフトの充実化とレーダとの同時観測を行ったデータ処理を行う計画である。
|