可搬型の28cmシュミットカセグレン式望遠鏡、低分散回折格子分光器、及び冷却CCDを用い、木星の衛星イオの火山性ガスを起源とするイオプラズマトーラス中イオン発光のスペクトルを取得し、木星磁気圏プラズマ源の変動を抽出することを目指した。 木星観測最適時期が梅雨と重なるという天候上の理由に加え、黄道面が低いため観測時間が取れないという悪条件も重なり、プラズマトーラス発光スペクトル自体を十分なS/Nで取得することはできなかった。しかし、プラズマトーラスと類似した基線を有する惑星状星雲の観測を冬季に行い、そのスペクトルの取得に成功した。次年度以降、観測地として東北大学惑星プラズマ・大気研究センターのハワイ・ハレアカラ観測所、及びオーストラリア・アリススプリングス観測所の利用が可能となるため、比較的気象条件に左右されにくい観測が期待できる。 波長帯は異なるが、惑星観測専用の小型宇宙望遠鏡計画「TOPS」に搭載を検討している極端紫外分光器の主たる観測対象がプラズマトーラスとなったことから、光学系・分光系の検討に寄与した。衛星観測からは、地上観測では困難なプラズマトーラス電子温度の観測が可能となり、両者を併用することで、プラズマトーラスの変動を、より詳細に探ることが可能となる。
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