南極大陸の昭和基地のあるリュツオホルム湾地域に認められる大陸地殻で形成された岩石の詳細な検討から、4つの異なる産状の炭素を含む岩石を認識し、それぞれの「長期的」地質時代の炭素循環システムを理解するための基礎的データを求めた.このために次の2つについて検討した。グラファイトの形成過程を、特に炭素安定同位体から明らかにし、岩石中にさまざまな形で入る炭素(炭酸塩・グラファイト・CO2fluid)の起源(例えば生物起源やマントル起源)を検討した。大陸地殻中の炭酸塩・グラファイト・CO2 fluidの炭素同位体平衡・非平衡の関係から、炭素の起源と相対的な固定量を見積もり、地殻内部の炭素収支の「定量化」につなげる一部のデーターを得た.採取した約500試料について、岩石薄片観察とグラファイト重量パーセント量の計算を現在進めている。本研究では、この中で厳選した試料について、さらに物理・化学的特徴を把握するためにEPMA分析とXRF分析(ともに静岡大学に現有)を行ない、岩石の変成過程における温度・圧力・流体・酸素分圧状態と母岩との関係を観察している。 1)炭素安定同位体測定は、特に結晶単位(ミリメータースケール)から結晶内部の累帯構造単位(マイクロメータースケール)までの微細な構造ごとの変化を把握し、炭素の同位体比の進化過程を明らかにする。消耗品としてバイコール管・薬品類・液体窒素を購入する。2)ラマン分光器を用いて炭素の相転移(例えば、CO2 fluidからグラファイトへの相転移かその逆か)を東京大学地殻化学実験施設(鍵裕之研究室)のもとで始めた.3)流体包有物から、炭酸ガスやメタンなどの気体を採取するためのは破砕器を製作し、安定同位体分析を少量で可能とするよう調製をしている
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