研究課題
日本列島の基盤は一部を除くと付加帯及びそれらが変成した変成帯で構成されている。堆積岩に関しては産出する大型化石及び微化石によって堆積年代が求められ、日本列島の形成過程を編む上で大きな役割を果たしてきた。しかし、西南日本に広く分布する変成岩は、変成作用の影響により化石が産出しないために、近年まで堆積年代が不明なままであった。そこで、変成作用の影響を受けない砕屑性ジルコンの年代測定を用いることにより、変成岩の堆積年代に有意な制限を加え、さらに後背地を推定することを行った。これにより、日本列島形成史の「白紙」部分を埋めることが出来ると考えられる。これまでも主に三郡変成岩類(特に周防帯)を対象に年代データを蓄積してきた。具体的な手法としては、国立科学博物館に於いてジルコンの抽出をした上で研磨試料を作成し、広島大学に設置されている二次イオン質量分析計:SHRIMP IIで分析を行った。18年度は主に九州北部の三郡変成岩(三郡一蓮華帯:変成年代約300Ma)から砂質片岩試料を採取し、ジルコンの年代測定を行った。その結果は以前に数試料測定した周防帯(変成年代220Ma)の年代分布に比べて明らかに古く、原岩の堆積年代が古いことが確認された。また、関東山地の三波川帯の砕屑性ジルコンも年代測定をした。三波川帯は、原岩はジュラ紀の付加帯である秩父帯と同じであるとされてきたが、年代測定の結果、原岩の堆積したのは白亜紀であることを示唆する結果が得られた。
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