研究課題
これまでの研究で、日本列島の基盤を成す、変成した付加体に対して砕屑性ジルコンの年代測定を行い、堆積年代の推定を行ってきた。その結果、三郡変成岩の300Ma変成帯である三郡-蓮華帯の砕屑性ジルコンの年代構成が約100km南に離れた木山変成岩と似通っていることが判明したので国際学会で発表し、現在は論文を執筆中である。また、三波川変成帯の原岩の堆積年代が四万十帯(北帯)と時代的に同じ白亜紀後期であることが明らかになり、そのことに関する論文を執筆し、出版された。これらの事実の発見により、日本列島の基盤の構造を考える上で、日本列島の形成史を大幅に単純化でき、多くの矛盾を解消できる可能性がある。つまりジュラ紀付加体である秩父帯の背弧側に四万十帯と同じ成分の三波川帯が露出する、向斜状の構造(たとえば磯崎・丸山、1991)を考えることができ、不必要に多数の沈み込みを想定する必要が無くなる。また、木山変成岩の存在は、九州中部の削剥が四国よりも緩かったことを示す可能性があり、同時に九州中部での三波川帯の不在を説明する要素になるかもしれない。一方で、飛騨帯の宇奈月地域は、朝鮮半島との地質的関係が古くから指摘されてきた。その中でも宇奈月地域は大陸衝突の痕跡と考えられる中圧変成岩を産し、朝鮮半島の沃川帯と対比されてきた。沃川帯の片麻岩のジルコン年代と、宇奈月地域の花崗岩に含まれるジルコンのコアの年代とが良い一致を示すために、この2地域を対比できる可能性がある。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences 104
ページ: 12-24
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences 103
ページ: 77-87
Journal of Mineralogical and Pertological Sciences 103
ページ: 141-144
http://www.kahaku,go.jp/research/researcher/researcher.php?d=vtsutsu