研究概要 |
本年度は,(1)海岸平野での地中レーダー探査,(2)更新統下総層群木下層での露頭調査を行った.(1)地中レーダー探査は,宮城県仙台平野と千葉県九十九里浜平野の沖積層を対象に行った.探査測線は,あらかじめ空中写真とt系図を判読した後,現地の下見を行うことで決定した.仙台では宮城県若林区荒浜周辺の農道と海岸の砂浜,九十九里浜では山武郡九十九里町および大網白里町の農道や海岸の砂浜において探査を行った.また砂浜での探査の後,測線上で打ち込みコアによる堆積物採取も行った.これら探査の結果,両地域の沖積層中の海浜対せきっぶつのレーダー探査断面において,海側に傾斜する特徴的なレーダー反射面の束が見られ,また,それらの反射面は急勾配の不連続面で区切られる.これはストームによる海浜の一時的な浸食によってできたと考えられる.また,仙台と九十九里では現海浜において勾配が異なるが(仙台が1/10に対し,九十九里が1/30),レーダー反射面においてもそのような違いが見られた. (2)露頭調査は,千葉県香取市小見川の崖に露出する更新統下総層群木下層の海浜堆積物に対して行った.露頭における近傍からの観察結果,およびレーザーレンジファインダーによる厚さ測定から体積柱状図を作成し,また,不連続面を認定するための露頭写真を撮影した.今後,九十九里浜および仙台平野の沖積層で得られた地中レーダー探査結果と比較し,海浜堆積物に発達する不連続面をモデル化するための下準備を行った.九十九里浜平野で得られた成果の一部により,同地域の海浜堆積物の地中レーダー断面の特徴についての論文を執筆し,現在Marine Geologyに投稿中である.
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