研究課題
地球惑星物質に微量に存在する希ガスは、存在量や同位体組成から、地球層構造進化や地球内部構造・隕石をはじめとする地球外物質の起源や履歴といった情報を与える重要な物質である。一方で、その希ガス原子が固体物質中にどのような状態で存在しているかはまだ明らかでない。地球惑星物質内での希ガス近傍の局所構造解析を目的に、本年度は以下の事を行った。(1)昨年度までに測定したKrを圧入した試料についてデータ解析を行った。(2)希ガス元素のイオン半径による含有量依存性を比較するため、Krよりもイオン半径の小さいArについて、Krと同様にXAFS測定を試みた。実験はPhoton Factoly BL-11Bにて、高圧下において雌圧入或いはAr雰囲気下にて合成した鉱物試料の蛍光X線分析および転換電子収量法によるXAFS測定を行った。(2)で用いた試料は、1MPaと10MPaの圧力下にて加熱処理したオリビンの粉末及び単結晶、焼成過程Arをフローさせ作成した石英の多結晶体、隕石中の希ガス濃集物質Q及びAr含有量の比較的高い天然のプロゴパイト(Ar含有2-3ppm)であった。結果、オリビンではAr圧力による蛍光X線強度の違いは見られなかった。また単結晶か粉末かという試料形態の違いによるAr含有量の差異も見られなかった。最も多くArを含有すると考えられた石英の多結晶体からはArのシグナルは観測されず数ppmでさえも含有されないことが分かった。希ガスは格子中の隙間や粒界に存在するとする従来モデルでは、イオン半径が格子中の原子間距離よりも大きいKrと比べ、小さいArは多く含有されると予想されていたが、イオン半径による含有量の差異は明確にはみられなかった。
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