研究課題
中性子を用いて氷結晶及びクラスレートハイドレート中のプロトンの微視的挙動を研究し、プロトンの欠陥の発生に伴う拡散と秩序化の機構の原理的理解を進めた。プロトンが秩序化する温度、圧力の条件を新たに解明した。本年度は、本研究の最終年度として、これまで製作した中性子回折、光学測定用の冷却装置を利用して、秩序化条件の精密化を行った。本研究の実施により、氷結晶及びクラスレートハイドレートに0.001M程度のプロトンの欠陥(H+及びOH-)を導入することで、50Kから70Kの温度範囲、大気圧下から1.5GPaの圧力範囲において、一週間程度の時間経過後にプロトンの配置が秩序化した構造が圧力に応じて4種類発生し、さらにその秩序構造領域が数週間以上成長し続けることがわかった。数ヶ月後に結晶全体の大半がプロトン秩序構造と変化した。プロトンはマイナスの電荷を帯びているのでこれが秩序化すると強誘電体となる。強誘電体の氷は強いクーロン力を持つのでこれが宇宙に存在すると惑星形成や物質進化に深く影響する。上記の温度圧力条件は太陽系外縁で広く実現するもので、例えば、冥王星には4種類のプロトン秩序構造が存在すると推定される。そこで、宇宙で強誘電体の氷を発見する為に必要な赤外線の特長を明らかにし、発見に向けた探査や観測の重要性を提案した。本研究で提唱した宇宙における強誘電体の氷の存在は、米国天文学会誌、米国サイエンス誌を始めとして、国内外の新聞、テレビ、インターネットで広く報道され、社会の関心を集めてきたと考えている。
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