研究課題
ユレイライトは、火成岩でありながらその酸素同位体比や希ガスの組成が始原的な隕石(炭素質コンドライト)に近いユニークなエコンドライトである。本研究は、ユレイライトの起源とその母天体形成のタイムスケールを明らかにするために、複数のユレイライトの全岩試料およびその構成鉱物のクロム同位体測定を行った。その結果、現時点で測定を終えた全てのユレイライトに負の54Cr同位体異常が発見された。この結果は、ユレイライトが正の54Cr同位体異常を持つ炭素質コンドライトの部分溶融によってできたものではないことを意味する。また、それぞれのユレイライトの54Cr同位体異常の大きさがわずかではあるが異なることから、ユレイライト母天体は酸素と同様、クロムに関しても不均一であった可能性がある。母天体の年代に関しては、これまで測定した全ての試料を考慮しても、充分なMn/Cr比の開きが見られないため、現時点では求まっていない。この主な原因は、鉱物分離の際に純度の高い輝石やカンラン石が得られなかったためである。平成19年度は鉱物分離の方法に改良を加え、より純度の高い鉱物フラクションを得ることで正確な年代を求めたいと考えている。また、これと並行して、全岩試料の54Cr同位体異常の測定を続け、その均一性・不均一性に関する議論をさらに進めていく予定である。
すべて 2006
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Antarctic Meteorite Research 19
ページ: 45-57