研究課題
高融点半導体材料に対してアニール処理を同時に行えるパルスイオン注入の実証実験を行うため、昨年度は加速電源をマルクス発生器へと改良を行うことで、パルスイオン注入に要求される電流密度とパルス幅を達成でき、出力電圧190kV、出力電流15kA、パルス幅(半値幅)100nsを印加したとき、イオン電流密度54A/cm_2、パルス幅90nsのパルスイオンビームが得られた。本年度は、このパルスイオンビームのエネルギーとイオン種の同定を行った。その結果、パルスイオンビームに含まれるイオン種は1価の窒素イオン、2価の窒素イオン、水素イオンであり、各イオンのエネルギーは1価の窒素イオンは110〜300keV、2価の窒素イオンは100〜300keV、水素イオンは90〜190keVに分布していた。また、窒素と水素の比率を算出したところ、1価と2価を合わせた窒素の比率は94%であるのに対し、水素は6%という比較的高純度のパルス窒素イオンビームを得ることができた。水素イオンの発生源は電極に付着した吸着ガスや残留ガスの影響であると考えられる。従来のビーム発生技術ではビーム純度は50〜70%程度なので、この値に比べると純度はかなり向上したが、パルスイオン注入に要求される純度には達しなかった。今後、ビーム純度をさらに向上させるためにパルスイオンビームの多段加速が可能な両極性パルス加速器の開発を行う必要がある。本研究では、ガスプラズマガンをイオン源に用いたパルス重イオンビーム源を開発したことで元素が気体である各種イオン種のイオンビーム発生は可能となり、ビーム純度の問題はあるが炭化ケイ素材料へのn型ドーパントに対応できるようになった。一方、p型のドーパント元素の多くが固体であることから、固体をイオン源とする大電流パルスイオンビーム発生技術が必要となるので、p型のドーパントとして機能するアルミニウムイオンビームを発生させるための真空アーク放電を利用した同軸プラズマガンのイオン源の開発も行ったので、今後はパルス重イオンビーム発生装置に組み込んでp型ドーパント用パルスイオンビーム発生技術の開発を行う予定である。
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