研究概要 |
本年度は、SiやSiN膜を選択的且つ高速にエッチングできる最適なプラズマ(誘電体バリア放電,沿面放電)生成条件を見出すことに重点をおいた研究を実施した。同時に、125mm角基板処理に向けてのプラズマ生成条件や電極構造の最適化に関する指針の把握に努めた。 SiNの沿面放電を利用したエッチングについては、誘電体で覆われた電極を基板上に接触配置して、同電極と基板との境界線に沿って生成される沿面放電を利用して単結晶シリコン基板上の膜厚約150mm程度のSiN膜をエッチングした。その結果、40mm角の基板上において、全ガス流量1000sccm、駆動周波数30kHz、放電維持電圧4kV、Ar:(CF_4+O_2)=700:300、Fr=CF_4/(CF_4+O_2)=1、処理時間5sで幅137μmの電極溝の作製が可能であることが明らかとなった。また、Fr=CF_4/(CF_4+O_2)=0.6の場合に高いSiN/Siのエッチング選択性を得られ、Frは低い方が溝幅は細くなるが、Fr=1で最もエッチング率が高いことが示された。更に、Ar流量の増加ならびに処理時間が長くなると電極溝の外側方向へと進行するラジカルの拡散によって溝幅が広がることが明らかとなった。なお、平成18年度新規設備であるプラズマ発生用高周波インパルス電源を使用し、放電電圧を高く設定することで処理時間の短縮化が図れることが確認できた。結論として、細い電極溝を短時間で作製するためには、CF_4及びO_2のエッチングガスを約2.3倍程度のAr流量で希釈し、高い放電電圧で短時間の処理を実施することが有用であることを明らかにすることができた。 一方、放電ギャップを有し、Heをキャリアガスとして用いた誘電体バリア放電によるSiの微細エッチングについては、直径150mmの電極温度の変化によりプラズマの一様性がくずれ、部分的には高いエッチングレートが得られたが均一性に問題があることが示された。今後、電極系の温度制御も含めた改良を行っていきたい。
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