本年度は太陽電池の受光面積を広く確保するため、より細い電極溝の作製のため、大気圧以上の高気圧下で生成した沿面放電プラズマを用いて細い幅の電極溝の作製を行った。並びに、背後電極長を変化させた際に沿面放電プラズマによるエッチングが与える影響について明らかにした。 高気圧下で生成した沿面放電による電極溝の作製に関してはAr=700sccm、CF_4=300sccmガスにて1.5気圧下で生成した沿面放電プラズマにより基板表面に膜厚約150nmで形成された単結晶シリコン基板のエッチングを行った結果、83μmと細い電極溝の作製に成功した。なお、沿面放電プラズマはガス圧力の上昇に伴い、細い幅の電極溝の作製が可能となる。 次に、沿面放電プラズマの放電発光をマルチチャネル分光器を用いて計測した。その結果、沿面放電プラズマ中のCF_4、CF_3の遷移発光、Ar原子による発光、Arのイオン線を計測することに成功した。なお、プラズマ発光の強度は放電維持電圧に依存し、エッチングレートとプラズマ発光強度が比例することから、エッチングに寄与するCF_3ラジカルやArイオンの生成量が放電維持電圧の上昇に伴い増加し、エッチングが進展することが明らかとなった。また、最も高いエッチングレートの得られるAr : CF_4ガス流量比は、800 : 200sccmであることが明らかとなった。 従って、幅の細い電極溝の作製には、15気圧程度の高いガス圧力下で沿面放電を生成し、背後電極長を短く設定することで、細い電極溝の作製に有効であることが明らかとなった。また、エッチングには、CF_3ラジカルやArイオンが重要な役割を持つことが明らかとなった。
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