研究概要 |
重イオンビームプローブ(HIBP)は高エネルギー重イオンビームを利用したトカマク,ステラレーター等の磁場閉じ込め核融合プラズマのポテンシャル計測器である.HIBPはポテンシャル計測と同時に,ビーム強度変化から密度揺動を得ることができる.本研究ではプラズマ通過による1次ビームの減衰からHIBPで高時間(10msec以下)空間(10mm程度)分解能をもつ電子密度分布計測を実験実証することを目的とする.交付期間内に,減衰に寄与する金のイオン化断面積を測定し,データベースを構築し,その得られたイオン化断面積を用いて,電子密度分布を再構築する. 金入射ビームの高出力化と安定運転を両立させるために,イオン源ビーム引き出し部の改造を行った.これにより,金負イオンビームを安定に出力させることが可能になり,信頼性と実験時間を大幅に改善できた. 金のイオン化断面積を求めるために,電子によるイオン化断面積はLotzの経験式,プロトンによるイオン化断面積はLOSSとCAPTUREコードにより計算した.この計算によりkeV〜MeV領域での金イオンのイオン化断面積と反応率を得ることができた.更に,土岐カンファレンスでは,その断面積データを用いたLHD実験におけるビーム減衰の評価を行った.この結果,検出されたAu^<2+>ビーム信号は,計算から予測される信号強度に比べ二桁程度低いことが分かった.今後の課題として,他の原子分子素過程や実際の3次元ビーム軌道等を考慮する必要があることが明らかになった.
|