研究概要 |
本年度の研究では,RT1装置において非中性プラズマ実験を行う上で必要となる電子銃及び測定装置の導入を進めると共に,理化学研究所及びCERNASACUSAの荷電粒子閉じ込め実験グループに参加し,非一様磁場中のプラズマに関する基礎実験を行った.補助金の用途は,主に電子銃製作及び本体装置に導入するための超高真空用部品,カソードや制御回路用電子部品等の物品費として,またCERNにおける低速反陽子ビーム実験参加や研究成果発表(アメリカ物理学会プラズマ分科会,日本物理学会秋季大会及び春季大会)のための旅費として使用した.磁気圏型プラズマ閉じ込め装置RT1では,超伝導コイルの制御磁気浮上及び超高真空環境を実現する事により,プラズマに与える擾乱を極めて抑制したトロイダル非中性プラズマ実験が可能である.本研究では,真空中への電子ビーム入射による純電子プラズマ実験,及び中性プラズマ中への電子注入による非中性化を行う事を計画しているが,これまでに基本的な装置及び周辺機器の設計製作を完了した.平成18年度中に,大電流ビームが得られるLab_6カソードを使用した電子銃のRT1装置への導入,超高真空部品を使用した差動排気系の設計や可動式導入器,カソード電源やビーム入射用高電圧源の整備を行った.その上で,RT1装置において真空磁場中で電子入射実験を行い,良好な電子ビームが得られる事を確認した.RT1装置では,従来非中性プラズマ実験を行ってきたProto-RTと比較して高磁場環境であるため,引き出し電流の値が現状では300G程度の磁場中で20mAに止まっているが,今後は入射角度等の最適化により改善を行うと共に,来年度はこれを使用したプラズマ実験を行う予定である.
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