本研究は、リアルタイム惑星アラートシステムを構築する事で、我々Microlensing Observations in Astrophysics(MOA)グループが行っている重力マイクロレンズによる太陽系外惑星探査の能力を3-4倍に引き上げる。これにより地球型惑星を含む太陽系外惑星の存在量を求める。本年度は、1.5年計画の最初の0.5年目で、惑星アラートシステムを構築する準備をした。まず、2006年の銀河中心の観測シーズン(南半球の冬)に全ての基礎となる重力マイクロレンズ"イベント"アラートを完成させ運用した。2006年シーズンでは、170個の重力マイクロレンズイベントをリアルタイムで検出し全世界にアラートを発して(http://www.massey.ac.nz/~iabond/alert/alert.html)、追観測を促した。これらの中に太陽系外惑星がないか、現在データの解析を行なっている所である。さらにシーズン終盤には、観測後5分程度で惑星を検出する、惑星アラートシステムのプロトタイプを構築し、そのテストを行なった。 これらの追観測による惑星検出の効率を飛躍的に上げるためには、観測された光度曲線に惑星によるシグナルがあるかをより早く発見し、アラートを出して追観測をする必要がる。それを実現するためには、より長い期間のデータをより速く解析をする必要がある。そのために今年度は、6.5TByteデータストーレッジ+3GHz×4CPUを持つサーバーを購入し、ニュージーランドのMt.John天文台に設置した。これを現地でセットアップをして、従来からあるコンピューターと連携してリアルタイムデータ解析のパイプラインを構築した。この3月に2007年の観測シーズンが始まり新しいシステムでのアラート発信を始めた。現在、昨シーズン終盤に試作した"惑星"アラートシステムを運用出来る様に調整中で、2007年度に本格運用に入る。
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