1.ヒドリンダセン2量体のサブユニット構造変化に基づくアロステリックシステムの開発 サブユニットとなるヒドリンダセンジアミドレセプターとして種々のアミノ酸由来のアミド基を導入したアドレナリンレセプターを構築した。これらにおいてはDL-アドレナリンとのジアステレオマー錯形成によりNMRスペクトルにおいてアドレナリンシグナルの分裂が認められた。また弱いながらもDL選択性も認められた。また、各ユニットのカルボキシル基が分子内で水素結合した分子内会合型大環状レセプターを構築した。 2.イミン架橋型ロタキサン分子の可逆的結合形成に基づく動的挙動の制御 新規イミン架橋型ロタキサンとして水素結合性ステーションを複数有するロタキサンの構築に成功した。先の例ではイミン結合の加水分解においてビスイミン体、モノイミン体、[2]ロタキサン種の3種の混合物となり、平衡はビスイミン体側へ大きく偏っていたが、水素結合ステーションを有するロタキサンにおいては室温下でほぼ完全に加水分解された[2]ロタキサン種へと偏ることがわかった。また、温度変化によってこれらの平衡は変化し、加熱によりビスイミン側へと完全に偏らせることも可能であった。 3.双極子反転機構に基づく回転応答型分子の構築 (Z)-ヒドリンダセンジニトリル体を双極回転子として利用した刺激応答型回転分子を構築した。回転子近傍にF置換芳香環を配置したマクロサイクルにおいて、回転子の配向を一方に偏らせることが可能となった。さらにこのマクロサイクルへ電荷制御ユニットとしてアミン部位を導入した場合、トリフルオロ酢酸の添加により中性状態とは逆の回転配向が優勢になることが確かめられた。
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