研究課題
不斉情報の自在な記録を可能にする分子素子の開発を目指し、メタロヘリセンの合成と機能化について研究を行った。まず、直鎖状配位子と二種類の金属の錯形成によりメタロヘリセンの合成を行った。ビス(salamo)配位子を亜鉛(II)および各種ゲストイオン(ランタニド、アルカリ土類)と錯形成させたところ、目的とした一重、一回巻きのらせん構造を構築できることがわかった。このときのらせんの巻き角は、亜鉛-ランタン錯体の288度から亜鉛-スカンジウム錯体の345度まで変化し、メタロヘリセンの巻き角をゲストイオンを変えることで自在に調節できることを明らかにした。また、トリス(salamo)配位子を亜鉛(II)およびゲストイオン(ランタン、バリウム)と錯形成させることにより、より巻き数の多いメタロヘリセン錯体が得られた。亜鉛-ランタン錯体の結晶構造解析から巻き角は421度であることがわかつた。これは約1.2周に対応する。この四核メタロヘリセンのらせん反転の速度についてNMRスペクトルを用いて検討を行ったところ、亜鉛-ランタン錯体の反転が遅いのに対し、亜鉛-バリウム錯体の反転は速いことが明らかに錯体の右あるいは左巻きの一方のみを得ることを目的として、末端に木斉置換基を導入した直鎖状ビス(salamo)配位子も合成した。との配位子から得られるらせん型錯体の右巻き・左巻きはジアステレオマーの関係にあり、NMRスペクトル等で区別して観測できる。実際、この配位子を亜鉛、カルシウムと錯形成させてらせん型錯体を調製したところ、二種のジグナルが観測され、その比が80:20であることがわかり、適切なキラル置換基の導入で一方巻きのらせん構造を誘起できることを明らかにした。
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