重金属として銅の陸生植物に対する有害性を評価した結果、土壌中のフミン質、pHや共存するほかの陽イオンの濃度によって変化することが確かめられた。その大きな原因として、銅のバイオアベイラビリティー変化が挙げられた。そこで、銅のスペシエーション予測を行って、銅自由イオンの濃度の計算を行い、それを横軸として整理を試みたところ、実測地をよく説明することに成功した。以上のことから生物結合モデルの準備段階を終了したと判断し、次に生物結合モデルに必要となる各種陽イオンや重金属との平衡定数を導出することを試みた。モデル植物としてムギとイネを使用し、検討の対象とする重金属としては銅とカドミウムを選択した。土壌試料のpHを種々変化させ、はじめに各種植物のpH耐性を明らかにした後、それぞれのpHにおいて重金属の濃度を段階的に変化させた場合の有害性の変化を検討した。重金属のスペシエーションを予測し、それぞれの重金属の自由イオン濃度を横軸として有害性を整理した。更に、リガンドとの結合の割合を横軸として整理した結果、実測値をよく整理でき、予測曲線と実測値の相関係数は0.9以上となり、種々の土壌環境における重金属の有害性変化を予測できるモデルの開発に成功した。
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