研究概要 |
エナンチオ選択的カルボリチオ化反応の開発エナンチオ選択的ヒドロアルミニウム化反応の開発研究における知見に基づいて,アキラルなビスアルキニルアルコールの不斉非対称化を伴うカルボリチオ化反応の開発を検討した.その結果,ビスアルキニルアルコールに対して光学活性アミノエーテル共存下でアルキルリチウムを作用させると,中程度のエナンチオ選択性で対応する光学活性アリルアルコールが得られることを明らかにした.また,系中で生じるビニルリチウム種に対して各種求電子剤を作用させることで,さらなる炭素-炭素結合の形成にも成功した。 光学活性アリルアルコールの新規変換法の開発プロパルギルアルコLルのエナンチオ選択的ヒドロアルミニウム化反応で得られる,光学活性アリルアルコールの変換手法の開発について検討を行った.その結果,γ位にシリル基を有するアリルアルコールのオゾン酸化によって,アルケンが付加型酸化されたαシリルペルオキシカルボニル化合物が高収率で得られることを見出した[Synthesis 2008,in press.].なお,このオゾン酸化では,通常のアルケンのオゾン酸化で生じる酸化的開裂反応の生成物はほとんど得られない.また,キラルアルコールに対して,本オゾン酸化を適用すると,ジアステレオ選択的にシリルペルオキシ基が導入されることを明らかにした.本オゾン酸化は,酸素から容易に調製できるオゾンを作用させるだけで進行し,有害な残渣が一切生じないことから,環境負荷が極めて低い合成反応として工業的な利用も期待できる.
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