研究課題
ポリウレタンは、原料の化学構造および配合比を変化させることにより、その構造および物性を容易でかつ広範にわたり制御することが可能である。このため、ポリウレタンの応用は、多岐に渡っており、重要な高分子材料の一つである。ポリウレタンエラストマーの化学構造は、剛直なハードセグメントおよび屈曲性のソフトセグメントからなる。これまでの研究より、ポリウレタンは、ハードセグメント相およびソフトセグメント相からなるミクロ相分離構造を形成(ハードセグメントドメインのサイズは、20nm程度)すると同時に、ハードセグメント相内においては、主鎖中の強い極性を有するウレタン基間で水素結合を形成していることが明らかにされている。バルクポリウレタンで重要な役割を果たしている極性が強いウレタン基は、超薄膜化した際においても、超薄膜の安定性や有のミクロ相分離構造などに大きな影響を及ぼすと考えられる。本研究では、ポリウレタン薄膜の膜厚とミクロ相分離構造を評価することを目的とする。ポリウレタン超薄膜を調製し、そのミクロ相分離構造を原子間力顕微鏡(AFM)による直接観察および視斜角入射X線散乱(GISAXS)測定により評価した。厚い膜厚の試料では、バルクと同様のハードセグメントドメインおよびソフトセグメントマトリクスからなるミクロ相分離構造が観察された。膜厚の低下に伴い、この相分離構造の周期長(ハードセグメントドメイン間距離に相当)は減少した。これまで、相分離サイズと膜厚の相関に関する報告例はなく極めて新規性が高い結果が得られた。
すべて 2007
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