研究概要 |
光機能性σ共役高分子-液晶ハイブリッド化合物薄膜を創製するために、1. 側鎖にアゾベンゼンを導入したポリシランの光誘起主鎖構造制御のメカニズムの解明、2. ケイ素を有するフォトクロミック化合物の合成と物性評価、を行った。 これらの結果については、光化学討論会やThe 15^<th> International Symposium on Organosilicon Chemistryなどにおいて発表した。また、一部についてはJ. Photochem. Photobiol., Aなどに掲載され、その他の成果については投稿準備中である。それらの成果は次の通りである。 1. ポリシランの側鎖に、液晶性フォトクロミック化合物のコアとなるアゾベンゼンを導入し、その薄膜を作製した。この薄膜に光照射することによって誘起されるポリシランの主鎖構造変化のメカニズムを研究した。その結果、薄膜状態においてフォトクロミックユニットであるアゾベンゼンの環境には大きく分けて自由体積の異なる2種類の環境が存在し、自由体積の小さな環境にいるアゾベンゼンが光異性化すると、周囲のポリシランに相互作用し、主鎖構造変化を誘起することが明らかになった。(J. Photochem. Photobiol., Aに掲載) 2. ポリシランとフォトクロミック化合物の相互作用を明らかにするために、種々のフォトクロミック化合物にケイ素置換基を導入し、フォトクロミック化合物の光物性に及ぼすケイ素の効果について研究した。ケイ素置換基の導入により、フォトクロミック分子のπ電子とケイ素置換基のσ電子が相互作用し、吸収スペクトルの長波長化などが引き起こされることがわかった。また、ケイ素置換基を導入してもフォトクロミック反応は効率よく進行することがわかり、ポリシランの側鎖に、アゾベンゼン以外の様々なフォトクロミック化合物を導入することが可能であることがわかった。
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