近年、様々な金属および金属酸化物からなるサブミクロンサイズの中空球が数多く報告されている。これらはその特異な形状、大きな比表面積や内部空間から高機能性が期待される。今年度は、中空球の応用展開の1つとして、光触媒として知られている二酸化チタンを球殻とする中空球を作製し、色素増感型太陽電池(DSC)電極材料への応用と光触媒能評価を行った。 ポリスチレンをテンプレートとしたゾルゲル法により、直径600nm、厚み30nmの二酸化チタン中空球を作製した。このような酸化チタン中空球を電極材に、D149色素を増感用色素に用いてDSCを作製した。擬似太陽光照射下で測定したI-V曲線から、中空球を用いたDSCは通常の酸化チタンナノ粒子を用いたDSCに比べて、単位重量あたりで約2.5倍の光電流を示した。この原因として、サブミクロンサイズの中空球構造によって、電極中で大きな光の多重散乱が起こり、少ない色素吸着量で大きな光電流を取り出すことが出来たものと推測している。 また、複成分からなるコアシェル型及び鈴状粒子の作製にもとりかかっている。現在、内部がSiO_2、外側がコバルトの鈴状粒子の作成に部分的に成功しており、様々な条件(金属塩の濃度など)を検討することで様々な組み合わせのコアシェル型及び鈴状粒子を作成できると思われる。 以上、今年度は酸化チタン中空球におけるアプリケーションと複成分粒子の作製の試みを行った。
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