1.外部配位サイトを有する金属フタロシアニン分子の設計と合成 設計と合成の結果、目的通りに金属フタロシアニンの外部に金属イオンを結合する分子を合成することができた。また周辺置換基の修飾による類縁体の合成、ポルフィリン骨格を含む分子の合成を行い、機能性色素の化学合成法について確立することができた。 実用化を視野に入れた真空蒸着幕作成、スピンコート法による薄膜作成についても検討を行い、色素薄膜の作成法について習得した。また、水溶性の重金属検出に対応するよう、水溶性フタロシアニンの設計と合成を行い、目的の化合物を得ることが出来た。 2.金属フタロシアニン分子の配位サイトヘの金属イオンの導入 合成を行った機能性フタロシアニン分子について、種々の金属イオンとの配位について検討を行った。その結果、ピラジン環を置換したフタロシアニンと、ジアゼピン環を置換したフタロシアニンを用いた場合に、それぞれ異なる金属イオンを選択的に配位することがESI-MSおよびUV-visの測定結果から明らかとなった。また、UV-visの変化のみではなく、金属イオンの添加により色調が大きく変化する場合もあり、重金属センサーとしての可能性が示唆された。今後、水溶性フタロシアニンについての検討を行うとともに、これまでに得られたフタロシアニン-金属錯体について集積化を行い、集積体の詳細な機能について測定と解析を進めていく予定である。
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