研究課題
蛍光X線分析に対応した環境分析用の標準物質に関しては、小麦や米粉など食材試料中の金属元素分析用の標準物質を作製した。新たな食材標準物質の作製方法として、有機金属試薬をトルエンなどの有機溶剤で溶解させた標準溶液を、食材粉末に所定量添加。混合し、溶剤を蒸発させることで、食材試料にppmオーダーで目的元素を均質に分布させることに成功した。現在、作製した標準物質の均質性。保存性。正確度などを詳細に検討しており、本年度中に、認証値を付与した認証標準物質としての開発・頒布を目指す。また、近年RoHS指令などで問題となっているプラスチック中の有害金属を、蛍光X線分析で定量するための標準物質を開発した。開発した標準物質は、(社)日本分析化学会で認証を行い、Pb, Cd, Cr分析用としてJSAC 0611-0615が、Hg分析用としてJSAC 0621-0625が頒布されている。さらに蛍光X線分析で、ミクロンレベル以下の微小部領域を分析する観点から、「三次元微小領域分析」および「極微量分析」の可能性を探る実験を行った。近年、X線集光素子の発達により、実験室レベルでもミクロンレベルの微小部分析が可能となってきている。しかしながら従来の微小部蛍光X線分析では、試料内部の元素情報や、ppbレベルの微量分析は困難であった。前者の三次元微小部領域分析では、X線集光素子であるポリキヤビラリーレンズを、X線照射側と検出側に取り付けた共焦点型三次元蛍光X線分析装置の開発。評価を行い、平面方向で30μm、深さ方向で80μmの分解能で試料内部の元素情報を取得することが可能となった。後者の極微量蛍光X線分析では、X線全反射現象を利用した微小部全反射蛍光X線装置を試作した。今後は、開発した装置の正確な評価を行うため、微小領域および微小空間分析用の標準物質を開発する必要がある。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
X-Ray Spectrometry 35・6
ページ: 375-378
Spectrochimica Acta PartB : Atomic Spectroscopy 61・4
ページ: 460-464
分析化学 55・7
Analytical Science 22・9
ページ: 1265-1268
分析化学 55・6
ページ: 427-432