アンチセンス核酸は人間の体内において、標的遺伝子のみを特異的に不活性化することができるため、様々な分野で応用され、現在では医薬品化されるにいたっている。しかしながら、これら核酸誘導体による標的遺伝子の認識能力は、形成された二重鎖の安定性だけに依存しているため、安定性に大きな差のない配列を誤認識するオフターゲット効果が起こることがあり、問題となっている。そこで我々は、標的遺伝子を共有結合を介して配列選択的に捕捉することのできる遺伝子発現制御法の開発を本研究の目的と定めた。 細胞中に存在するの過酸化脂質が核酸塩基部と付加体を形成することに着目し、その部分構造をモチーフとした4-オキソアルケナール基を導入した機能性核酸の開発を前年度に引き続き行った。4-オキソァルケナール基の保護方法を検討した結果、2-メトキシメチルフラン誘導体を与えることが明らかとなった。2-メトキシメチルフラン誘導体は、脱保護条件において、速やかに4-オキソアルケナール基を与えることから、これまでにない保護気を開発することができたといえる。この誘導体を導入したプローブと、相補鎖とのクロスリンク能を評価した結果、4-オキソアルケナール基の正面にシトシンが位置する配列の際に最も効率よく相補鎖とのクロスリンク反応が起こることを明らかとした。また、アデノシンが相補的な位置にきた際にもクロスリンク反応が起こり蛍光性の誘導体が精製することが明らかとなった。 本研究期間に得られた結果については、American Chemical Society national meeting、日本化学会春期年会、生体機能関連シンポジウムにおいて発表を行った。
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