燃焼法によって製造されたフラーレンスートは異常に高い電気化学容量を示す。例えば、活性炭の面積比容量は有機電解液中にて約6μFcm^<-2>であるが、スートは30μFcm^<-2>以上の値を示すことがこれまでの研究で明らかになっている。しかし、その容量発現機構についてはいまだに不明である。本研究では、フラーレンスートの高い電気化学容量の発現機構を明らかにする。さらに、五員環を含む新規な炭素材料を構築することで、より高容量な炭素系電気化学キャパシタの開発指針を得る。具体的には、容量発現の機構モデルを提唱すると同時に、面積比容量にして50μFcm^<-2>以上、体積比容量にて100Fcm^<-3>以上の高容量電極材の実現を目標にする。 平成18年度において、フラレーンスートの電気化学容量の発現機構を調べるために、電気化学水晶振動子マイクロバランス(EQCM)法を適応することを試みた。その結果、フラレーンスートを塗布した水晶振動子電極は正常に発振し、電極分極時の重量変化を検出することができた。従来の活性炭と比較すると、フラーレンスートの重量変化は大きく、単純なイオンの吸脱着ではないことが示唆された。 また、デカサイクレンの炭素化ならびにフラーレンのボールミル処理を行い、五員環含有炭素の調製を試みた。その結果、前者では五員環の存在が認められなかった。後者では詳細なキャラクタリゼーションを行うことができなかったが、収率が低いながらもトルエン不溶物質を得ることができた。
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