研究概要 |
チオガレート化合物にランタノイド希土類元素Ceを添加すると青緑色領域に,Euを添加すると黄緑色領域に高効率かつスペクトル幅の広い発光を示すため,これらの発光を組み合わせると白色に近い発光が得られる.そのため,チオガレート化合物は同一母体を用いたモノリシック白色発光素子としての可能性を持つが,より白色に近い発光を得るためには,Ce発光をより短波長側に,Eu発光をより長波長側にシフトさせる必要がある.Ce発光の短波長側へのシフトは,母体のチオガレートCaGa_2S_4化合物中のII族元素であるCaを他のII族元素Sr,Baに置換することで実現可能であることはわかっている.本年度は,もう一方のEu発光を長波長側にシフトさせることを目的として,母体のCaGa_2S_4化合物中のIII族元素であるGaを他のIII族元素In,La,Yに置換することでEu発光中心の周りの結晶場を変化させることを試みた.硫化物粉末を原料として,真空中あるいは硫化水素雰囲気中で850〜950℃の温度で24時間の焼結を行った.その結果,室温での紫外線励起のもとでの発光が,Eu添加CaGa_2S_4の波長約550nmに対して,Inに置換したEu添加CaIn_2S_4が650nm,Yに置換したEu添加CaY_2S_4が740nmとより長波長側に発光を示し,Eu添加CaY_2S_4が作製した試料の中では最も高効率の発光を示した.しかし,蛍光体としては効率がまだまだ不十分であるため,焼結方法,組成費等の最適化をする必要があり,Ce発光の短波長化も合わせて,継続して試料作製および評価を続けていく予定である.
|