研究概要 |
チオガレート化合物にランタノイド希土類元素Ceを添加すると青緑色領域に,Euを添加すると黄緑色領域に高効率かつスペクトル幅の広い発光を示すため,これらの発光を組み合わせると白色に近い発光が得られるが,より白色に近い発光を得るためには,Ce発光をより短波長側に,Eu発光をより長波長側にシフトさせる必要がある.Ce発光の短波長側へのシフトは,母体のチオガレートCaGa_2S_4化合物中のII族元素であるCaを他のII族元素Sr,Baに置換することで実現可能であることはわかっているので,18年度は,もう一方のEu発光を長波長側にシフトさせることを目的として,母体のCaGa_2S_4化合物中のIII族元素であるGaを他のIII族元素In,La,Yに置換することでEu発光中心の周りの結晶場を変化させることを試みた.その結果,Eu添加CaY_2S_4が最も高効率の発光を示したが,波長が740nmと逆に長くなりすぎたため,19年度は,さらにこのEu添加CaY_2S_4中のII族元素であるCaを他のII族元素Sr,Baに置換することで,発光波長の制御を試みた.硫化物粉末を原料として,真空中で950℃の温度で24時間の焼結を行った結果,室温での紫外線励起のもとで,Srに置換したEu添加SrGa_2S_4が波長約635nm,Baに置換したEu添加BaY_2S_4が600nmとより短波長側の発光を示し,Eu添加CaGa_2S_4の緑黄色発光から,黄色〜赤色へと発光色を制御することができ,II-III_2-S_4系のみによる白色蛍光体のみならずフルカラー蛍光体への道を開くことができた.これらの得られた成果は今秋,ドイツで開催される国際会議において発表する予定である.
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