テンプレートとなる材料として酸化亜鉛(ZnO)ナノロッドを用い、電極基板上へのZnOナノロッドの異方成長について検討を行った。酢酸亜鉛から作製したZnOナノ粒子(粒径4nm)をフッ素ドープ下酸化スズ(FTO)電極に、スピンコートした後、このナノ粒子を結晶核としてZnOナノロッドの異方成長を検討した。結晶成長は、硝酸亜鉛、ポリアリルアミン、ヘキサメチレンテトラミンを含む溶液中で行い、ポリアリルアミンとヘキサメチレンテトラミンの濃度の比を種々変化して、検討した。ポリアリルアミンの添加量の増加により、ZnOナノロッドの配向性、直径、基板上での数密度が変化し、20mmol/dm^3のヘキサメチレンテトラミン、硝酸亜鉛を含む場合ポリアリルアミンを10mmol/dm^3添加した場合に、もっとも基板に対する配向性が高く、サイズが揃っていることがわかった(平均直径:126nm)。このようにして作製した高い異方性を有するZnOナノロッド担持電極をテンプレートとして、電気化学的に金(Au)を析出した後、ZnOナノロッドを除去することにより、多孔質金電極を作製した。得られた多孔質Au電極は、ZnOの直径とほぼ同等のサイズの孔を有しており、Au(111)面を露出したAu電極と比較して、その反応活性が3.6倍向上することを見出した。さらに白金ナノ粒子を細孔内に担持した、高活性が期待されるAu多孔質電極も検討を行ったが、こちらは、ZnOナノロッドの溶解が確認されて、まだ十分な検討が行えていない。今後の課題である。
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