初年度(前年度)、基板上に異方成長したロッド形状酸化亜鉛粒子(ZnOナノロッド)を鋳型とした、一次元細孔を有する新規多孔質金(Au)電極の作製方法を確立した。本年度は、触媒活性の高い白金(Pt)ナノ粒子を担持したZnOナノロッドを鋳型として、細孔の内表面にPtナノ粒子が高分散担持した多孔質電極の作製を試み、その電極触媒活性を評価した。FTO基板上に担持した平均直径56nm、密度41本/μm^2のZnOナノロッドに、平均粒径9nmのPtナノ粒子を電気泳動により担持した。Pt担持量は電気泳動の時間に比例して増加し、120分間の泳動により約50μg/cm^2のPtナノ粒子を担持できることがわかった。このようなPtナノ粒子担持ZnOナノロッドを鋳型として作製した多孔質Au電極表面には、平均細孔径約55nmの細孔が確認されその密度は30個/μm^2であり、精密に鋳型のロッド形状を転写した表面構造を有することがわかった。燃料電池触媒への応用を検討するため、異なるPt担持量のZnOナノロッドから作製した多孔質電極を用いて、メタノール酸化反応に対する触媒活性を評価した。いずれのPt担持電極においても-0.17V(vs.Ag/AgC1)にメタノールの酸化反応に帰属されるピークが観測された。Ptを23μg/cm^2以上担持した電極は、バルクのPt板電極と同等の触媒活性であったが、より少量のPtを担持した電極では、Pt担持量あたりの電流密度は約3倍上昇した。以上のことから今回作製したPt担持多孔質電極は、少量のPt担持で効率よくメタノール酸化反応反応が進行する、高活性電極触媒として機能することが明らかとなった。近年のエネルギー問題に対して、燃料電池の高効率化およびPt使用量の少量化は重要な課題であり、本結果はこれら課題の改善策の一つとして有効であると期待される。
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