研究概要 |
本研究では、高温高圧反応により、ホウ素やシリコン、ゲルマニウム、リンという典型元素からなる新たな半導体ネットワークの構築と、電子ドープによる新規超伝導体の開発を目的としている。今年度(18年度)得られた主な結果は以下のとおりである。 1.三次元トンネル構造を有する三元系ジャーマナイドEuPtGe_3の高圧合成 本化合物は一昨年度に当研究者らによって偶然発見された新規ジャーマナイドである。発見当初は副生成物として極めて微量しか得られなかったが、本研究によってその再現性の確認と、合成法の確立に成功した。このジャーマナイドはGeとPtからなるトンネル状骨格を有しており、Euがその隙間に取り込まれた三次元構造を持つ。半導体骨格中に取り込まれた遷移金属元素は特異な電子状態を取ることがあり、次年度ではその電子状態の解明や、電気的磁気的性質の解明に取り組む予定である。 2.新規ホスファイドLaGeP_3の高圧合成 ゲルマニウムとリンによる新規骨格の構築を目指して行った高圧合成研究により、LaGeP_3という組成を持つ新しいホスファイドを得ることができた。粉末XRD解析から、立方晶の対称性を持つことがわかり、現在その結晶構造を解析中である。 3.その他、ゲルマニウム置換体の高圧合成と物性評価 クラスレート化合物や、スクッテルダイト構造を持つ化合物のゲルマニウム置換体を合成し、その構造や物性評価を行った。とくにLnRh_4Sb_9Ge_3やLnCo_4Sb_9Ge_3(Ln=La, Ce, Pr, Nd, Eu),はケージ構造を持つ15族元素骨格が14族元素で初めて置換された化合物群であり、今後その物性の研究を行っていく予定である。
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