(1)異なる天然物由来の原料から作製した触媒のメスバウアー分光法による分析 本研究開始以前に分析が終了していたカタラーゼ以外の、ヘモグロビン、赤血球由来の正極触媒について、それぞれの最大の活性を示す試料について分析を行った。 (2)グルコース、グリシン、乳酸鉄を天然物原料として用いて作製した炭素材料におけるヘム状構造の生成と正極触媒としての機能の発見 原料として用いるタンパク質の違いによる触媒活性、耐久性の違いについての基礎的知見を多方面から得ることを目的とし、タンパク質構成材料のグリシンおよび活性中心と予想される鉄にグルコースを浪合して炭素材料を作製したところ、メスバウアースペクトルからヘム状構造が生成していることが示唆され、さらに、燃料電池正極触媒として機能することを見出した。事業化を目指すため株式会社日本触媒に技術移転し共同で特許出願を行った。 (3)ヘモグロビンを原料として用いた炭素材料作製の熱処理条件の検討 これまでは不活性ガス気流中、800度程度の温度に昇温して一定時間保持することにより行っていたが、本研究において、一旦350度程度の温度で熱処理し、その後900度程度で熱処理を行うと、触媒能ならびに耐久性が向上することを見出した。事業化を目指すため株式会社日本触媒に技術移転し共同で特許出願を行った。 (4)X線吸収微細構造(XAFS)測定実験 タンパク質由来の触媒、ならびにグルコース、グリシン、乳酸鉄から得られた触媒のXAFS測定実験を実施した。今後、結果の解析を行い、メスバウアー分光法から得られた結果とあわせ、触媒活性ならびに耐久性の向上につながる天然物由来非白金系燃料電池正極触媒の活性点構造の解明を行う。
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