研究概要 |
本研究では,分子ナノワイヤーの構築を目指し主鎖が環状化した交互型シーケンシャルポリペプチドが形成するβ-sheet構造に着目した。ペプチド主鎖が環状になったcyclo-(LK)_8はFmoc固相法により調製した。得られたcyclo-(LK)_8は,TOF/MS,HPLCおよびNMR分析により,目的の環状を形成していることが示された。このcyclo-(LK)_8は,(1)NaClの添加に伴い,LysineとLeuicineが交互に配列したペプチドcyclo-(LK)_8が,β-sheet構造を主とした二次構造へと転移することが示された。(2)cyclo-(LK)_8は,繊維状会合体が凝集した構造を形成することがAFM及びTEMにより確認された。 このようなアミロイドフィブリルは,交互型以外の環状ペプチドでは観察されなかった。以上の結果は,高配向性ナノファイバーの構築と,この構造を鋳型とした3次元集積化への展開が可能であることが示唆された点で非常に重要な結果と考えられる。 本年度では,形成されたアミロイドフィブリルの形成挙動の解析と構造解明を目的とし,外的要因(pH,温度,イオン強度,濃度依存性,溶媒依存性,温度依存性)について検討を行うことを目的とする。
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