1.擬1次元空間で形成される自発的なゲルのパターン形成 毛細管中に天然多糖類水溶液を封入してゲル化剤を拡散させる系において様々なパターンを持つロッド状のゲルを得た。このゲルに現れるパターンは大きく分けて、チューブ、セル、セル・チューブ、螺旋、筍の5つに分類できた。チューブパターンを除くパターンではゲル化剤が濃度勾配を作る方向に特有な空間的周期構造が生じた。このパターンは調製時のゲル化剤の濃度と毛細管の直径を変えることで大きく変化した。一方、異なる毛細管サイズでゲルを調製し、ゲル化剤濃度をコントロールすることで、サイズの異なる相似的なパターンを得ることが出来た。 2.擬2次元空間で形成される自発的なゲルのパターン形成 同様に擬二次元空間に自発的なパターンを形成させることを試みた。天然多糖類水溶液にゲル化剤を拡散させることで天然多糖類水溶液がゲル化し、ゲル化剤の濃度勾配に対してほぼ平行に縦縞のパターンが表れた。天然多糖類水溶液の濃度が低いとき、この縦縞の間隔は広いが、濃度が高くなるにつれて間隔が狭くなることが観察され、濃度を変えることで縦縞の間隔を変えることが出来た。この系は三次元網目構造の形成(ゲル化)と電離度低下に伴う水への不溶化(相分離)が競合する系である。このことから、相分離から生じる濃度ゆらぎがゲル化によって凍結し、縞パターンが形成されたと推察される。
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