研究概要 |
ナトリウムチャネルが開いた際に細胞膜外から流入するナトリウムイオンを生物発光により検出する可視化プローブをGaussia luciferaseを用いて開発している. ナトリウムイオン依存的に発光酵素活性が有ると考えられる分泌性蛋白質Gaussia luciferaseを非分泌性にすることを目的にN末側の分泌シグナルを取り除いたΔgau,ナトリウムチャネル蛋白質を融合させることによる発光酵素活性への影響を確認するため,N末あるいはC末、およびN末とC末にMyc Tagを融合させたm-gau, gau-m, m-gau-mを作製した.各々を細胞内で発現させ,mediumと,細胞溶解液の発光酵素活性を測定し分泌量を測定した.分泌シグナルを取り除いたΔgauの活性が失われたが,gaussia luciferaseのN末にアミノ酸を融合させることで,非分泌性となる上、活性も維持されることが確認した. 続いて,ナトリウムイオン濃度に対する発光酵素活性のナトリウムイオン濃度依存性を測定することを目的に,gaussia luciferaseを発現した細胞の溶解液中のナトリウムイオン濃度を変化させたところ,ナトリウムイオン濃度依存的に発光強度が増大した.細胞膜内外のナトリウムイオン濃度差は,発光強度に大きく差を与えた. 現在,以上の結果を踏まえて,Gaussia luciferaseを心筋ナトリウムチャネルNav1.5のC末端に融合させたキメラ蛋白質を作製し,脱分極刺激に対する発光強度の増大を確認している.また,速い不活性化を起こさなくなることが知られているInactivation GateのIFM motifをQQQに置換した心筋ナトリウムチャネルNav1.5の変異体を用いることで,より,高感度なナトリウムチャネルの生物発光を用いた可視化プローブの開発を進めている.
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