エレクトロスピニング法による導電性高分子ファイバーの極細化を達成するために、極細ノズル(内径1μm)および同軸異径ノズルを用いた。極細ノズルを用いた検討においては、導電性高分子としてポリチオフェン(P3HT)を用いた。通常ノズル(内径100・m)を用いた場合、直径約10μmのP3HTファイバーが得られた。極細ノズルを用いることにより、直径約100nmのP3HTファイバーを得ることに成功した。同軸異径ノズルを用いた検討においては、導電性高分子としてポリアニリン(PANI)を用いた。ここでは、PANIを芯材、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンオキシド(PEO)およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)を鞘材とする「芯鞘型」ファイバーを作製し、鞘材を溶媒でエッチングすることにより極細PANIファイバーを得ることを試みた。得られた芯鞘型ファイバーのモルフォロジーは、芯材用溶媒と鞘材用溶媒の相容性、鞘材のポリマー特性に依存することが明らかとなった。モルフォロジー制御に関する検討の結果、PEOを鞘材に用いることにより、繊維径約100nmのPANIファイバーを得ることに成功した。 得られた導電性高分子ナノファイバー1本をガラス基板上にシルバーペースト(電極)で固定し、電流電圧特性の評価を行った。繊維径約10μmのP3HTファイバーの抵抗は、68M・であることがわかった(電極間距離2.8mm)。
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