研究概要 |
高温融体からのシリコン半導体単結晶育成プロセスでは、結晶化に伴い生じた潜熱の放出によって結晶の品質、形態が決定される。この結晶化潜熱は(1)放射、(2)メルト・結晶間の熱伝導、(3)雰囲気ガスへの熱伝導によって失われる。しかしメルト-ガス界面におけるガス温度・濃度は未だに測定がなされていない。これは(1)雰囲気ガス流の状態が分からず、メルト周辺のガス温度・濃度の不均質性が評価できないことが原因の一つである。このガスへの潜熱放出過程を明らかにするために、本研究では干渉計を用いて高温メルト近傍のガス温度・濃度を測定することで、ガスへの熱放出過程を定量化することを目的としている。 浮遊メルト結晶化潜熱放出過程における熱移動過程を定量的に評価するためには、ガス中への熱伝達を測定するだけではなく、融体内での熱の熱伝導および放射による熱伝達も明らかにする必要がある。そこで、干渉計による静磁場中での浮遊メルト結晶化潜熱放出過程のその場観察に先立ち、真空中での融体シリコンの熱物性測定(モジュレーションレーザーカロリメトリー)を行った。この熱物性測定法の信頼性を、リファレンスとしてすでに熱物性データのある固体白金の、熱容量、熱伝導率、半球全放射率の測定を行うことで明らかにした。その後、融体シリコンの定圧モル熱容量、熱伝導率および半球全放射率の測定を行った。固体白金についての研究成果はMeasurement ScienceTechnology,融体シリコンの研究成果はApplied Physics Letterに報告した。 これらの研究成果を踏まえ、現在メルト-ガス界面での熱伝達により散逸する熱量をその場測定するための干渉計光学系を作成している。
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