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2006 年度 実績報告書

相不安定性の制御による新機能電子物質の探索

研究課題

研究課題/領域番号 18760022
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

新高 誠司  独立行政法人理化学研究所, 高木磁性研究室, 基礎科学特別研究員 (60392057)

キーワード強相関電子系 / フラストレーション
研究概要

本年度はLiV_2O_4に磁場・圧力を作用させることで本研究の課題である相不安定性の制御を行い新奇物性の探索および物性の解明を行った。LiV_2O_4は3d電子に基づいたユニークな重い電子系で、通常重い電子挙動は希土類を含む金属間化合物において観測されその振る舞いは近藤効果によって説明されるが、本化合物にはその説明をそのまま単純に適応することはできず、その起源については電荷・スピンエントロピーの伝導電子への解放等が提案されているが、未だ明らかにされていない。そこでLiV_2O_4の単結晶を育成しその磁化過程・磁気抵抗測定により重い電子状態の起源に迫ることおよび電荷とスピンの絡んだ巨大非対角応答の探索を行った。LiV_2O_4は比熱等の物性測定から特性温度T*を持ちそれより低温で重い電子状態が形成されることが知られているが、本研究によりT*以下での磁化過程において等方的なメタ磁性を示すこと、磁気抵抗においてもメタ磁性を起こす臨界磁場において極大を示すことを初めて明らかにした。このような磁化過程・磁気抵抗の振る舞いは近藤格子系の典型物質と共通している。また観測されたメタ磁性の特徴から、その起源がフェルミ面から数meV離れたところにある状態密度のピークであること、またそのピークがT*以下で発達していくことが示唆された。一方圧力を印加すると、8.5GPa, 150Kにおいて金属絶縁体転移を示す。Vの形式価数が3.5+であることより、絶縁体相では電荷・軌道・スピンの絡む複雑秩序化が期待される。絶縁体相の結晶構造を明らかにするため室温・圧力下のEXAFS測定を行った。11GPa付近で圧力誘起構造相転移によると思われるスペクトルの変化の観測に成功した。これは室温において絶縁化を観測した初めての研究であり、詳細な解析から絶縁体相ではVがクラスターを形成していることが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 その他

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] EXAFS study of LiV_2O_4 under high pressure2006

    • 著者名/発表者名
      N.Dragoe
    • 雑誌名

      High Pressure Research 26

      ページ: 427

  • [雑誌論文] High-field magnetization study of the heavy fermion oxide LiV_2O_4

    • 著者名/発表者名
      S.Niitaka
    • 雑誌名

      Journal of Magnetism and Magnetic Materials (In press)

  • [雑誌論文] Metal-Insulator Transition in a Pyrochlore-type Ruthenium oxide, Hg_2Ru_2O_7

    • 著者名/発表者名
      A.Yamamoto
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan (In press)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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