研究概要 |
平成18年度には、二種類の表面光反射分光を用いてシリコン表面上に高融点金属(チタン,ハフニウム)を蒸着しその酸化膜を電子線励起により作製する研究を開始した。二種類の表面光反射分光法、表面差分反射分光(SDR)と反射率差分光(RDS)を相補的に組み合わせて表面反応をリアルタイムで観測するための測定システムを構築した。SDRでは、p偏光をブリュースターで入射させる方法を採用してきたが、s偏光により得られたデータとの比較を行い偏光依存性の検討を行った。RDSについては、石英の無歪み窓の導入、小型の分光器の導入、光弾性変調器(PEM)と偏光子の交換、自動計測のためのソフトウェアの構築等を行った。これらの改良により、10^<-4>オーダーの微弱な反射率差の計測を可能とした。この光学計測システムを用いて、シリコン清浄表面および水素吸着シリコン表面上でのチタンの初期成長過程の観測を行った。次に、電子線励起のシリコン基板への影響を調べた。低エネルギー電子線をシリコン表面に照射し、欠陥の形成過程をリアルタイムで計測できることを確認した。また、シリコン表面の熱酸化の過程をSDRとRDSを複合させて解析し一層酸化の条件における活性化障壁について新たな知見を得た。さらに、光電子分光法や走査トンネル顕微鏡を利用して高融点金属薄膜の成長様式についても予備的な実験を開始した。これらの成果により、SDRとRDSを複合させ、電子線励起酸化により高融点金属酸化膜形成を実時間計測するための準備を整えることができた。
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