近接場光によって生じる種々の光誘起相互作用力を散逸力変調によって検出することで「顕微鏡装置」としても、また「計測手法」としても、全く新しい高感度・高分解能ダイナミックモード原子間力顕微鏡/近接場光学顕微鏡(DFM/SNOM)を実現・構築するべく、高感度な力検出が可能な周波数変調(FM)検出制御法を採用し、さらにDFMにおける2種類(光てこ法、自己検出法)の微小変位検出を用いた新たなDFM/SNOM装置を開発した。そのほか本研究装置のノイズ解析、光誘起相互作用力の定量化および計算機シミュレーションによる理論解析も合わせて行った。一連の研究により、周波数変調方式AFMを用いた光誘起相互作用力計測に基づく近接場光検出手法を実現し、確立した。 具体的な本研究成果としてDFM/SNOMにより高感度・高分解能な光学像を安定に得るために、顕微鏡システムが有するノイズ要因を十分に解析し、本装置の最小変位検出感度を、原子・分子分解能を有するAFMの検出感度である20fm/√Hz程度を達成し、本研究装置で分子結晶の分子分解能像が観察できた。またFM検出器の周波数帯域特性が10kHz程度まで拡張され、短時間かつ高感度な相互作用力計測が可能となった。さらに2種類のプローブによる相補的かつ精密な、近接場光検出の距離依存性測定を行ったことで、近接場光が探針に働く力へと変換されるメカニズムとして光放射圧、光誘起静電気力、光熱応力などの複合的な要因があることが確認されるに至った。
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