平成18年においてはテラヘルツ光におけるシングルショットでのマルチチャンネル検出の確立および安定化を図った。この手法はテラヘルツ電磁波の電場振幅に比例した電気光学効果による位相変調を光サンプリングする手法をベースにしている。サンプリングパルスとして広帯域白色光を用いそれに線形チャープをつける。テラヘルツ電磁波の時間波形に応じて位相変調された光成分の時間軸情報を周波数軸上にマッピングし、その変調スペクトルを検出することで光パルスと検出器とを同期させることでシングルショット検出が可能となる。テラヘルツスペックル測定を実現可能なSN比を達成するために、エミッターとなるZnTe結晶および励起光のスポットサイズを最適化することでテラヘルツ波の高出力化を図った。またLiNbO3におけるチェレンコフ光を用いた増幅法について検討し、非線形結晶の設計を検討した。試料を透過あるいは散乱した光がこの手法で十分検出可能なEO信号の大きさとなるようにする。また広帯域の白色光を検出できる帯域の2分光器対およびそれに接続する2ダイオードアレイの増幅器と駆動同期回路自作することで、マルチチャンネルでのバランス検出器の試作、改良等を行った。そして実際にこれらを取り込むシステムを構築し、動作確認を行った。これらの手法は秋の物理学会の誘電体のシンポジウムにおいて招待講演を行っている。
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