広帯域白色光のサンプリングパルスにチャープをつけることでテラヘルツ電磁波の時間波形に応じて位相変調された光成分の時間軸情報を周波数軸上にマッピングし、その変調スペクトルを検出する方法を確立した。しかし液晶や電子正孔系など実際の系に適応する場合、試料の散乱や吸収の寄与によって電磁波強度が減衰し十分なSN比の電場波形を得ることができなかった。このことから高強度のテラヘルツ波発生技術を開拓することが重要である。誘電体結晶であるLiNbO3などはワイドギャップであることから汎用エミッタであるZnTeにくらべて2光子吸収が生じにくくまた電気光学定数が大きいために高強度のテラヘルツ波発生が期待できる。しかし媒質の分散によって位相不整合が生じ、非同軸方向に放出されたテラヘルツ光の生成効率が抑えられてしまう。この非同軸テラヘルツ光が伝播するのと同時に同位相の非線形分極が生成されるように光パルスの波束面を空間的に制御することで、効率よくテラヘルツ光が増幅することが可能となる。この発生過程を非同軸パラメトリック過程と考えて発生方法の最適化を行い、現時点でチタンサファイヤレーザー励起で0.5μJ、電場強度は200kV/cmの広帯域(<3THz)テラヘルツ光パルスの生成に成功している。このような高強度テラヘルツ波では2桁弱い電場強度でも検出できることから、単一パルステラヘルツ計測に十分適応可能であると考える。
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