本研究では3次元情報を維持したまま、データベースに登録された大容量の3次元(2次元も可)画像に対して位相情報を利用することで超高速・高精度な認証・検索を実現するものである。この研究は以下の3つの要素技術(1)3次元画像情報の位相符号化、(2)3次元光相関における体積位相ホログラムの設計と厳密解析、(3)同軸記録方式を採用した光相関光学設計とシステム化、により構成される。このシステムを基盤技術としたアプリケーションとして、超高速なバイオメトリクス認証サーバ、更に画像計測技術への応用も検討した。 (1)3次元画像情報の位相符号化 入力面において3次元画像情報を位相状態で符号化することで、3次元情報と3次元情報のまま、直接比較演算を行える位相相関演算を開発した。モデル化手法に基づき取得した3次元情報の位相符号化に成功し、基本的な3次元像の認証に成功した。 (2)光相関における体積位相ホログラムの設計と解析 光相関では画像情報の空間周波数成分の寄与率が演算の重要要素になる。そのためには(1)で符号化した入力画像に対し参照波を検討する必要がある。膜厚の変化によるシフト不変性の変動や位相直交条件の参照画像を利用する検討なども行い、精度の高い光相関演算を実現した。 (3)同軸型記録方式を採用した光相関システム 記録情報をコリニア方式で記録し、超高速全光型認証システムを構築し、原理実験に成功した。1トラックに12000ページ、回転速度を600rpm〜6000rpmとすると、約1〜10μsの速度で、画像相関演算の実現が可能になる。例えば、顔画像認識に適用すると、従来技術では困難であった10万人以上に対応可能な、超高速認証サーバとして機能する。
|